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W杯で話題の日本発スパイク サッカーとファッションを愛する「スボルメ」社長を直撃

鈴木淳之介選手とスボルメのスパイク

Image by: Catherine Ivill - AMA via Getty Images/FASHIONSNAP

鈴木淳之介選手とスボルメのスパイク

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鈴木淳之介選手とスボルメのスパイク

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 日本代表の決勝トーナメント進出を受けて、さらに盛り上がりを見せる2026W杯。日本中を沸かせる選手たちの足元では、「ナイキ(NIKE)」や「アディダス(adidas)」「プーマ(PUMA)」のピンクのスパイクが目立っているが、その中で異彩を放つモノトーンのスパイクがある。鈴木淳之介選手が着用し、密かに話題を呼んでいる一足を手掛けているのは、東京発のスポーツブランド「スボルメ(SVOLME)」だ。社員数はわずか14人。デザインチームは、たったの3人。今年で誕生20周年を迎える同ブランドにとって、今回のW杯は、鈴木選手と共に挑む初めての大舞台となった。一体、スボルメとはどんなブランドなのか? 創業者であり代表取締役の渡邉祐二氏に、20年の歩みと夢の舞台裏について話を聞いた。

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2026W杯日本vsチュニジア戦での一幕。写真右が鈴木淳之介選手。

2026W杯日本vsチュニジア戦での一幕。写真右が鈴木淳之介選手。

Image by:  Eurasia Sport Images via Getty Images

デザイナーを夢見たサッカー少年がブランドを立ち上げるまで

 スボルメは、渡邉代表が大学卒業後に文化服装学院へ進み、ギャル向けファッションアイテムの生産を手掛けるOEM企業で生産管理などを学んだ後の2006年に設立した。幼稚園から大学までサッカー漬けの日々を送りながらも、ファッションに夢中だったという渡邉代表。「専門学校に入学してからも趣味でサッカーを続けていたため、機能的なウェアに興味がありました。動きやすくて自分が『着たい』と思える、ファッション性の高いものを作りたいという思いが当時からあったんです。学校の製作物でも、周囲がウールのロングコートなどを作る中、私はウール素材でスタジャンを作っていました(笑)」と当時を振り返る。

 2000年代初頭のフットサルブームも追い風となった。女性を中心に「可愛いウェアが欲しい」という需要が生まれた好機を捉え、ファッション性を取り入れたフットボールアパレルを製作。「それまで、フットサルやサッカーのウェアといえば白や黒、赤、青といったベーシックなカラーがほとんどでした。我々は『スポーツファッション』という領域の中で、よりカジュアルに着やすいデザインやカラーリングを意識しました」。前職の経験を活かし、女性目線を取り入れたデザインやウィメンズサイズを展開したことも奏功した。

 現在もカラーリングには強いこだわりを持つ。市場の動向から次シーズンのトレンドカラーを予測してパレットを組み立て、それをベースにデザインを設計。最新トレンドを意識しつつも、プレーヤーが抵抗なく着用できるよう、ベーシックなスポーツウェアへと落とし込んでいる。

 ブランド設立後、仕事に専念するため一度サッカーから離れた渡邉代表。しかし、それが原因で運動不足となりランニングを始めた。そこで「もっと走るのが楽しくなるデザインのウェアがあればいいのに」と感じたことを起点に、2016年にランニングカテゴリーをスタート。現在に至るまで、サッカーとランニングの二軸で商品展開を行っている。

シューズ事業への参入から15年、悲願のW杯へ

 アパレル主軸でスタートした同ブランドだが、2011年にシューズ事業へ本格参入を果たす。スポーツブランドとしての認知向上のため、創業当時から「ギア(シューズ)の開発は必須」と考えていた渡邉代表だが、アパレルとは比にならないほどの初期投資やコストがかさみ「最初はとにかく苦労した」と振り返る。そうした試行錯誤の末に生まれたのが、鈴木選手の活躍によって業界内から熱視線を浴びているスパイク「デルサルマ(DELSALMA)」シリーズだ。

黒いスパイク
黒いスパイク
黒いスパイク

鈴木選手が愛用している「デルサルマ 4 LE」(1万5400円)。日本人に合う足型を採用し、繊細な感覚を持つ日本人選手が足馴染みの良さ、ボールタッチの感触を重視する傾向にあることから、柔らかく高強度のカンガルーレザーにこだわって生産を続けている。

Image by: FASHIONSNAP

 鈴木選手とスボルメの出会いは、同ブランドが鈴木選手の母校である帝京大可児高校のウェアをサポートしていたことがきっかけだった。すでにプロ入りが決まっていた高校3年生の時にデルサルマシリーズの着用を開始。以来、現在に至るまで約5年にわたり、鈴木選手の足元を支え続けている。

 「履き続けてくれている一番の理由は、何より『足に合っている』と実感してもらえているからだと思います。人の足の形は千差万別。特にサッカーのように走る、止まる、切り返すといった複雑な動きが激しく求められるスポーツでは、自分の足にフィットするシューズを選ぶことが選手生命をも左右します。大手ブランドでは、新モデルが出ると契約上それを履かなければならないという制約があると聞きますが、それが必ずしも選手の足に合うとは限りません。本当に気に入った一足を長く使い続けられることは、選手にとって最大のメリット。私たちのスパイクも、そうした深い信頼関係のなかで愛用してもらえているのだと感じています」。

チュニジア戦での鈴木淳之介選手

チュニジア戦での鈴木淳之介選手。渡邉代表曰く、今大会での着用による反響の大きさは「20年の歴史の中で一番」だという。

Image by:  Catherine Ivill - AMA via Getty Images

 デルサルマシリーズは、ブランドの主力アイテムとして約2年おきにアップデートを行っている。「私たちが展開するサッカースパイクは2型のみと非常に少数です。新モデルの開発には巨額の投資が必要な上、ラインナップが多すぎると発信も分散してしまい、現在の私たちの規模ではマンパワーが追いつきません。ターゲットを絞り込んでしまうリスクはありますが、まずは限られたモデルにすべてのリソースを注ぎ、開発を続けています」。

 シューズ事業は、未だ軌道に乗った手応えはないという。「今回こうして取材が入るのも、裏を返せば『そんなブランドは聞いたことがなかった』という新鮮な驚きがあるから。私たちは以前から実直に発信を続けていますが、全国どこのショップにも並んでいるわけではありませんし、ピッチで履いている選手を見かけることもまだ稀です」。引き続き、関わりのあるチームや選手一人ひとりと密にコミュニケーションを取り、愚直に製品を届けていく。

次なる日本代表選手の輩出へ、20年の節目でもブレない精神

 今年でブランド設立20周年の節目を迎え、W杯という大舞台で脚光を浴びる今も、「私たちの基本姿勢は変わらない」と渡邉代表は言い切る。主なターゲット層である部活生や、ジュニアユースのクラブチームに所属する10?15歳の若い選手たちへのアプローチを地道に続けながら、アスリートの声に徹底して寄り添う商品開発をブレずに推進していく構えだ。

スボルメ公式サイトのキャプチャ

スボルメ公式サイトでは、スボルメとの契約チームにフォーカスしたオリジナルコンテンツ「SVOLME FAMILY」を発信している。

Image by: スボルメ公式サイト

 渡邉代表は、自社の強みを「小規模ならではのフットワークの軽さ」と分析。「資本力や認知度に限って言えば、世界的なブランドと同じ土俵で戦うことは到底できませんが、我々は日本のユーザーのニーズを直接現場で聞き、対話しながらものづくりができる環境にあります。育成年代の選手やチームに寄り添うアプローチは、すぐに結果が出るものではなく、気の遠くなるような長期の『種まき』です。鈴木選手のような存在が再び私たちのシューズから現れるまでには、ここからさらに7年、あるいは10年以上かかるかもしれない」としつつも、「それでも私たちは選手ファーストの姿勢を愚直に貫き、日本の選手たちに最も近い距離で寄り添える存在であり続けたいと思っています」と展望を語った。

渡邉祐二代表

渡邉祐二代表。「大学時代はマルジェラのニットベストを着てサッカーの練習に行くような、周りから見れば変わり者でした(笑)」と話すサッカー&ファッションラバーでありながら、ランニングも趣味。先日はトレランレース「奥信濃100」で100キロメートルを完走し、7月には「The 4100D マウンテントレイル in 野沢温泉」で65キロの部門に出走予定。

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最終更新日:

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