
「あの人は宇宙人だね」。何を考えているか分からなかったり、個性的な考えを持つ人に対し、日本語ではしばしばこうした比喩を用いて表現する。しかしよくよく考えてみれば、社会生活を送るうえで、完全に理解できる生物は存在しない。気の置けない友人や、人生を共にする伴侶、更には自分自身でさえも、全てを理解できると考えるのは傲慢とすら言えるかもしれない。突き詰めれば、「誰もが誰かの宇宙人」なのだ。「カラー(kolor)」2027年春夏コレクションでは「Aliens」をテーマに、異なるバックグラウンドを持つ存在同士が手を取り合う、人間の営みに焦点を当てた。
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かつて映画などで描かれてきたエイリアンは、人々の内面にある「未知への恐怖」や「差別心」を表現するためのメタファーで、直接口にすることができない移民への恐れなどを、襲いかかる未知の生命体に置き換えて描いた背景があったと言われている。SF作品が好きだというカラーデザイナーの堀内太郎が今回のコレクションで目指したのは、忌避すべき恐怖の対象ではない、新しいエイリアンの表現だ。
ショーは従来のカラーのイメージとは一線を画す、ブラックのルック群から幕を開けた。「なるほど今回はシックな提案なのか」と思わせた直後、パレットは温もりと洗練さをあわせ持ったブラウン系、そしてソリッドなグレーへと移行。その後はレッド、ブルー、グリーンへと鮮やかに移り変わっていく。色相ごとにルックが整理されているため、全体として統一感が生まれているが、個々のアイテム構成自体は非常にカラフル。それはまるで、異なるバックグラウンドを持つ人間が共に生きる、この地球そのものを象徴しているかのようだ。




ジェンダーの境界を曖昧にした前シーズンに対し、今シーズンはそれぞれの性別の特徴を明確に打ち出す表現へとシフトしている。とはいえ、どちらの性差にも属さないニュートラルなルックが排除されたわけではない。どちらかに偏るのではなく、色々な人間がいて当たり前という今季に通底する哲学はここにも現れている。


デザイン面では、ワークやドレス、ウエスタンといった多彩なカルチャーを掛け合わせ、ブランドの代名詞である解体?再構築のアプローチを随所にミックス。本来は内側に隠されているはずの裏地や縫い代をあえて表側に露出させたインサイドアウトの手法や、ポケットなどの意匠を二次元のグラフィックへと昇華させた、トロンプルイユ的な表現も目を引いた。




また、ピクセルを組み合わせたようなデザインの新たなモノグラムパターンが登場。ブルゾンやボトムス、ネクタイなどに幅広く用いられているが、いずれも生地と同系色のトーン?オン?トーンで表現することで、主張しすぎない洗練された統一感と、ブランドの新たなアイデンティティを確立している。



世界各地のクリエイターとの国境を越えた協業も、今季のトピックの1つ。ショーミュージックに台湾の音楽ユニット Mong Tong、テキスタイルのパターンにギリシャを拠点とするアーティスト Klaus Schmidt、グラフィックに中国生まれで日本を拠点に活動する画家 Yang Boをそれぞれ迎えた。国籍やジャンルをクロスオーバーさせ、一つのコレクションへと鮮やかに調和させるアプローチは、まさに多様な「エイリアン」たちが共生する世界の豊かさを物語っている。

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