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「キディル」27年春夏は“工場泣かせ”な服ずらり Y2Kギャルブランドとのコラボも

?佐久友基

 「キディル(KIDILL)」が、2027年春夏コレクションの展示会を開催した。「CHAOTIC DISCORD」をテーマに掲げた今季のコレクションについて、デザイナーの末安弘明は「長年服をデザインしていると、どうしても正解が見えて安牌に収まってしまう。自分すらかっこいいと確信できないようなものを作りたかった」とコメント。カッティングや加工を中心に実験的な手法をいくつも取り入れ、ファッションデザインの“当たり前”を解体するような服作りを追求した。

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KIDILL 2026年秋冬

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KIDILL

2027 SPRING SUMMERファッションショー

 このコンセプトを体現しているのが、肘や膝などが抜けたようにボコボコと膨らんだ歪なフォルムのアイテムたち。一見いくつものパーツで切り替えているように見えるが、実際には無数のダーツを入れることで立体感を表現している。生地がうねるように全体を曲線で構成しており、縫製やパターンメイクの難しさから何度も試作を繰り返したという。「このフォルムが果たして正解なのか、展示会をしている今も分からない」と末安。独学で服作りを身につけた同氏らしいDIY精神の顕れであり、デザイナーとして20年以上活躍してなお初期衝動を失っていないことを物語るアイテムだ。同デザインでは、ワークテイストのジャケット(13万3100円)とパンツ(8万3600円)、ストライプやチェック地のシャツ(8万1400円)を用意した。

 “工場泣かせ”とも言える複雑な仕様は、コレクションを通じて随所に登場。デニムジャケットは全体にハードなダメージ加工を施し、生地の裂け目を約300個の安全ピンで留めつけ、その上から割れやすい特殊な塗料でコーティングした。身頃や襟に取り付けたバッジは共生地で包まれており、表地と同じように塗膜の剥がれなどの経年変化を楽しむことができるという。同シリーズはジャケット(19万5800円)のほか、組下のデニムパンツ(16万9400円)やスウェット(14万3000円)も揃う。

 パンキッシュなグラフィックをあしらったシリーズは、プリントという定番のデザイン手法自体を問い直すように、絵柄を一度紙に印刷した上で生地に圧着。つるりとした圧着部のツヤや紙特有の細かなシワなど、服らしからぬテクスチャーがいくつも重なった重層的なデザインに仕上げた。同シリーズはさらに、バッジをプラスチックでカバーして一部を手作業で剥がしたものを使用。量産の限界に挑むような手仕事の跡が光る。オーバーサイズのデニムシャツ(11万2200円)のほか、パンツ(10万5600円)やTシャツ(3万7400円)が揃う。

 オリジナルのタータンチェック生地は、ブランドのエッセンスとして今季も多用。同じ柄を拡大?縮小したり、角度を変えてパッチワークする手法を取り入れたフーデッドジャケット(20万200円)やショーツ(8万4150円)が登場したほか、ビスポークテーラー「キリンテーラー(KIRIN TAILORS)」とのコラボレーションジャケット(12万6500円)にも同生地を用いた。

 「ヒズメ(HIZUME)」とのヘッドウェア(6万2700?6万6000円)や「キッズ ラブ ゲイト(KIDS LOVE GAITE)」とのシューズ(24万6400円)、「レヴェリー(Reverie)」とのアクセサリー(2万2000?6万8750円)といった定番のコラボシリーズに加え、2000年代に一世を風靡したギャルブランド「ジューシークチュール(Juicy Couture)」と初協業したアイテム(5万600?6万8200円)も登場。ベロア素材やラインストーン、ガーリーな羽のモチーフなどは踏襲しつつ、耳付きの大きなフードやオーバーサイズのシルエットなどでキディル流にアレンジした。ジューシークチュール本来のボディコンシャスなタイトフィットとは対極的なデザインがユニークであり、成熟しつつあるY2Kリバイバルの波にも乗って注目を集めそうだ。

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「ジューシークチュール」とのコラボアイテム

 会場にはそのほか、ラテックスウェアブランド「クラゲ(kurage)」と製作したフェティッシュなゴム製のMA-1ジャケット(99万円)やパンツ(59万4000円)、気鋭の日本人アーティスト ohianaによるグラフィックを大胆にプリントしたセットアップ(10万5600?10万7250円)などが登場。端切れを編み込んだようなトップス(13万5300円)や、スカルモーフをクロシェ編みで表現したベスト(17万6000円)など、コレクションで目を引いたニットも並んだ。

最終更新日:

文?佐久友基

FASHIONSNAP 編集記者

神奈川県出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、製薬会社に入社し着道楽を謳歌するも、次第に"買うだけ"では満足できなくなりビスポークテーラー「SHEETS」に弟子入り。4年間の修行の末「縫うより書く方が向いている」という話になり、レコオーランドに入社。シズニでワンドアなK-POPファン。伊勢丹新宿店で好きなお菓子はイーズのアマゾンカカオシュー。

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