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“メイドイントーキョー”の靴メーカー アポロ、オリジナルブランド「ヌエット」立ち上げ

?橋本知佳子

Image by: nu;et

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 1956年創業の東京?荒川区の老舗シューズファクトリー「APOLLO」が、オリジナルブランド「ヌエット(nu;et)」を2026年秋冬シーズンに始動した。価格帯は約3万?5万円で、日暮里に構える自社工業で企画から製造までを一貫して行うことで、確かな品質と適正価格を両立している。ファーストコレクションは公式オンラインストアとエルショップなど一部取り扱い店舗で7月から順次デリバリーを開始しており、7月25日にはセカンドシーズンとなる2027年春夏コレクションの一般向け受注会を開催する。

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ファッションを楽しむ女性にスニーカーではない選択肢を

 ヌエットのコンセプトは「モードなエッセンスを日常で楽しむ、上質(ハイ)カジュアル」。ブランド名は、「nu(仏語で『ありのまま』の意)」と「et(仏語で『そして?』の意)」をセミコロンで繋ぐことで、「あなたらしさを未来へと繋いでいく」という意味を込めた。自然体で日常を楽しむ現代女性の足元を彩る新たな選択肢となることを目指しているという。

”古着にも合わせやすいがスニーカーでもない”というテイストを追求している

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 ヌエットを運営するアポロはOEMを中心とした革靴メーカーで、2017年に初のオリジナルブランド「ヘンリエンヴァーゴ(HENRI EN VERGO)」を立ち上げた。近年のスニーカーブームやコロナ禍による外出機会の減少や、原価高騰に伴う価格の上昇によって革靴市場が縮小していた状況下で直販可能なオリジナルブランドを強化することで事業の安定性を高める狙いもあった。現在ヘンリエンヴァーゴはトゥモローランドやタカシマヤなど約25のセレクトショップおよび百貨店で取り扱われており、同社全体の売り上げにおける約2割をオリジナルブランドが占める。ヘンリエンヴァーゴはキレイめな印象が強いことから、モードな佇まいながらよりデイリーでカジュアルなシューズを提案するブランドとしてヌエットの立ち上げに至ったという。

 コロナ禍などでスニーカーに慣れてしまった消費者は、パンプスの硬い革に苦手意識を持ちやすいとされるが、外出機会の復活に伴いTPOに合わせた革靴が求められる機会も増加している。そこでヌエットでは、「ファッションを楽しむ女性のためのスニーカーではない選択肢」として、日常に溶け込むデザインと足入れの柔らかさを重視したレザーシューズを提案。ファーストコレクションでは、シープスキンを使用し、履き口にクッションを施すことで柔らかな履き心地を追求したバレエシューズ「bridge」(3万3000円)、ステッチをあしらった4.5cmのウエッジヒールミュール「arc」(3万7400円)など、7型をラインナップしている。

「arc」(3万7400円)

「bridge」(3万1900円)

“メイド?イン?トーキョー”のファクトリーブランドという価値

 現在シューズ業界では職人の高齢化や、原価高騰?賃金の上昇により、特に低価格帯を強みとしていたシューズブランドは経営が圧迫され閉業を余儀なくされているという。「東京都内で製造を完結できる“メイド?イン?トーキョー”のシューズ会社は少なくなった」とアポロの南弘志社長。それでも地価の高い東京での製造を続ける理由について同氏は「お客さまとトレンドに近い場所で商品開発を行うことに意味がある。アポロは自ら提案し職人が生み出す“工房”であり、受け身で作り続ける“工場”ではない」と語る。

日暮里の工房では約30人のデザイナーや職人が生産に関わっている

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 アポロは、自社にパタンナーを擁し、企画からパターンカット、縫製、納品までを日暮里のアトリエで完結できる点が強み。ヌエットデザイナーの榎本郁栄は、「アポロは特にフォルムやディテールの美しさに対しての評価が高い。シューズ専門会社の中にはファッションに疎い企業もあるが、アポロは社内デザイナーの知識やトレンドへの理解が深いため、パタンナーと意見を出し合いながら魅力的なシューズを作ることができ、デザインが野暮ったくならない」と話す。

 ヘンリエンヴァーゴでは、「ファクトリーブランド」としてのイメージを打ち出してこなかったが、ヌエットはコレクションのルック撮影をアポロの日暮里工房で行うなど、生産背景の発信を強化している。

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日暮里の工房で撮影されたファーストコレクションのルック画像

 南社長は「お客さまは生産背景に興味があるはずなのに、あまりオープンになっていない。ファクトリーブランドと聞くとクラフト感が強いイメージがあるが、ヌエットは、クラフトマンシップだけに頼るのでなく、しっかりと“ファッション”として成り立たせたい」とコメントした。今後は、「メイド?イン?トーキョー」ブランドとしての価値を確立し、海外展開も視野に拡大を目指す。

最終更新日:

??ヌエット:公式オンラインストア

??ヌエット2027年春夏コレクション一般向け受注会
日程:2026年7月25日(土)
会場:SO1
所在地:東京都渋谷区神宮前6-14-15
営業時間:11:00 ~ 17:00

文?橋本知佳子

Chikako Hashimoto

FASHIONSNAP 編集記者

東京都出身。映画「下妻物語」、雑誌「装苑」「Zipper」の影響でファッションやものづくりに関心を持ち、武蔵野美術大学でテキスタイルを専攻。大手印刷会社の企画職を経て、2023年に株式会社レコオーランドに入社。ファッション小物?アクセサリー、繊維企業を中心に取材。

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